退職後の健康保険手続きってどうしたらいい?選び方のポイント

退職後の健康保険手続きについて悩んでいる方は多いことでしょう。この記事では、退職後に選べる健康保険の選択肢、手続き方法、保険料の計算、高齢者向け制度などについて説明します。
本記事を参考にして、あなたに適した健康保険選択について理解し、具体的な手続きの方法を学んでいきましょう。
退職後の健康保険はどうしたらいい?4つの選択肢
健康保険任意継続制度を利用
退職によって健康保険資格を喪失した場合、健康保険任意継続制度を利用することができます。この制度では、退職後から2年間まで、健康保険の給付を受け続けることができます。
ただし、この制度を利用するには、退職時点で健康保険に加入していた期間が2か月以上続いていること、制度に加入するためには、退職後20日以内に健康保険組合に申請書を提出する必要があります。
任意継続制度を利用することで、医療費や出産手当、傷病手当などの健康保険の給付を受けることが可能ですが、自己負担額は前年の平均標準報酬額に応じて変わるため、注意が必要です。また、制度の利用期間中に再就職した場合、任意継続制度の利用を終了して新しい健康保険に加入する必要があります。
国民健康保険へ加入
国民健康保険は、健康保険資格を喪失した場合に加入できる公的な保険制度です。この保険には、原則としてすべての国民が加入することが求められています。国民健康保険に加入すると、医療費の一部が補助されるほか、高齢者や障害者、出産・子育て中の人などが給付金を受け取ることができます。
国民健康保険に加入するには、退職後14日以内に市区町村の窓口で手続きを行う必要があります。手続きには、運転免許証や住民票などの身分証明書と、健康保険証の返却が必要です。国民健康保険の費用は、所得や家族構成に応じて決まりますので、確認しておくことが重要です。
特例退職被保険者制度を利用
特例退職被保険者制度は、退職後も健康保険に加入し続けることができる制度です。この制度を利用する理由は、退職後に保険資格を喪失してしまうため、医療費負担を軽減し、必要な治療を受けられるようにするためです。
ただし、特例退職被保険者制度を利用するには、退職時に50歳以上であることや、当該健保組合に1年以上在籍していることが条件となります。また、制度利用は原則2年間までであり、その後は任意継続制度などのほかの選択肢を検討する必要があります。
家族の扶養に入る
退職後に家族の扶養に入ることは、医療費の負担を軽減する手段のひとつです。扶養家族として加入することで、家族の健康保険制度を利用できます。
具体例として、配偶者が働いている会社員で、健康保険に加入している場合、退職後にその配偶者の扶養家族となって保険を利用することができます。ただし、所得や扶養要件に関する一定の条件がありますので、事前に確認しておくことが重要です。
退職後の保険手続きのステップ
保険証の返却と再発行の流れ
退職後の保険手続きでは、まず保険証の返却が必要です。退職時に所属していた健康保険組合に保険証を返し、扶養家族や新たな健康保険制度に加入する場合は、新しい保険証の発行手続きを行います。
新しい保険証の発行には、所定の書類や証明書が必要ですが、その内容は制度や組合によって異なりますので、事前に確認しておくことが望ましいです。
任意継続被保険者の資格喪失日
任意継続被保険者は、健康保険から退職後も一定期間、医療保険の給付を受けることができます。資格喪失日とは、任意継続被保険者の制度を利用できる期間が終了する日を指します。
基本的には、退職後2年間が一般的な継続期間ですが、組合や事業主によっては期間が異なる場合があります。医療保険の資格喪失日は、本人と家族が受けられる医療サービスへの影響が大きいため、事前に確認が重要です。
喪失日が近づいた場合、国民健康保険への加入手続きが必要になります。手続きは市区役所の窓口で行われるため、期間内に必ず手続きを完了させることが求められます。
保険料の計算と納付方法
任意継続被保険者の保険料は、前年度の給与額に基づいて計算されます。厚生労働省が定める標準報酬月額によって決定され、個人と会社それぞれの負担割合がありますが、退職後は会社の負担がなくなり、自己負担が増えることに注意が必要です。
保険料の納付方法は、口座振替や、郵便局・金融機関での納付が一般的です。納付期間は毎月決められた日にちが設定されており、遅れると過料が課せられることがありますので、納付を怠らないことが大切です。
また、扶養家族がいる場合は、保険料の計算が変わることがあります。扶養家族の手続きによって、保険料が減額されることもあるため、手続きの内容に注意が必要です。
扶養家族の手続きポイント
退職後の健康保険では、扶養家族の手続きが重要です。手続きにおけるポイントは以下です。
- 扶養家族の条件:年収130万円以下であることが一般的ですが、各組合によって要件が異なります。
- 手続きの方法:退職後の健康保険加入時に、扶養家族分の手続きが必要です。書類の提出や証明書の発行が求められるため、事前の準備が大切です。
- 扶養家族への影響:手続きが完了すると、家族も医療保険の給付を受けることができます。ただし、扶養家族が就職した場合や所得が増加するなど、状況が変わったときは、速やかに手続きの変更が必要です。
扶養家族の手続きは、家族の医療保険の給付を受けるために重要な手続きです。適切な手続きを行うことで、家族の健康管理が円滑に進められます。
退職後の健康保険の選び方
保険料の安さで選ぶ
保険料の安さを重視して保険を選ぶ理由は、経済的負担が軽減されることです。家族や本人の健康状況、所得水準などにより、保険料は異なります。
例えば、国民健康保険と厚生年金のそれぞれの制度に、保険料の標準額が設定されていますが、所得や家族構成によって変動します。加入する組合や選択した保険プランによっても保険料に差があります。
保険料を抑える方法を取得するためには、以下の点に注意しましょう。
- 任意加入の健康保険や年金制度を検討する
- 扶養家族の有無や条件を確認し、適切な制度を選ぶ
- 事業主が提供する福利厚生制度を利用する
- 自己負担率や受給年齢について比較検討する
保険料を安く抑えることができれば、今後の退職や受給条件の変更、健康状況の変動などにも対応しやすくなります。ただし、安い保険料を選ぶだけでは、給付内容やサービスが充実していない場合もありますので、総合的に検討することが重要です。
給付内容・サービスで選ぶ
給付内容やサービス面を重視して保険を選ぶ理由は、個々のニーズやライフスタイルに合わせた適切なサポートが受けられることです。保険には、医療保険、年金制度、介護保険など様々な種類があります。給付内容・サービスに着目して選ぶ際には、以下の点を確認しましょう。
- 医療費の負担軽減や高額療養費制度の利用可能性
- 出産や子育てに関する手当やサービス
- 介護サービスの提供範囲や質
- 傷病手当、年金給付、死亡保険金などの給付内容
- 書類の手続きや相談窓口の利便性
それぞれの制度や保険会社により、給付内容やサービスが異なります。自分や家族の健康状況、将来的な年金受給状況、現在の在職状況などを考慮し、最適な保険を選択します。
専門家に相談する
保険に関する質問や手続きが複雑である場合、専門家に相談することをおすすめします。専門家は、家族構成や健康状況など個人的な状況に応じた最適な制度を提案でき、手続きの方法や必要書類の提出方法なども解説できるため、迅速かつ正確な手続きが可能となります。
専門家への相談は、保険組合や市区の窓口、事業主やリンク先のサイトなど様々な方法で行うことができます。専門家に相談することで、自己負担を最小限に抑えながら、最適な保険を選択することができるほか、認定された傷病の治療費や介護費用を適切に支給されるよう手続きをサポートしてもらえる場合もあります。
高齢者の保険制度を利用する
定年後の健康保険選択肢
定年後の健康保険に関しては、退職前の保険制度、加入していた健保組合の継続、任意加入の国民健康保険、高齢者向けの後期高齢者医療制度などがあります。それぞれの選択肢には、手続きや月額負担額、支給される医療給付が異なるため、自分自身や家族の状況に応じて検討が必要です。
- 退職前の保険制度の継続:退職後も1年以内に再就職すれば、同じ保険制度を継続することができる。
- 健保組合の継続:健保組合の継続には、原則として75歳までの加入が可能。ただし、組合によっては、扶養家族の範囲や加入資格が異なる。
- 任意加入の国民健康保険:退職によって健康保険の資格喪失の場合、申請して国民健康保険に加入することができる。
- 後期高齢者医療制度:75歳以上の高齢者や、65歳以上で一定の要件に該当する者が対象となる制度。この制度を利用することで、医療費の負担額が原則として1割に抑えられる。
選択肢を検討する際には、該当する手続き期間、書類の提出方法、自己負担額の計算方法なども確認しておくことが重要である。
後期高齢者医療制度の概要
後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者や、特定の疾患を抱える65歳以上の方々を対象にした医療保険制度です。この制度により、高齢者が医療サービスを利用しやすくなり、経済的負担が軽減されます。
後期高齢者医療制度では、医療費の自己負担が一定の割合に抑えられ、また医療費の上限が設けられています。これにより、高額な医療費がかかる場合でも安心して治療を受けることができます。
また、都道府県が運営するため、地域ごとに異なる取り組みや制度が展開され、高齢者のニーズに応じたサービスが提供されています。
退職後の健康保険について
資格喪失後の保険適用時期
健康保険は、退職後も継続して加入することが可能ですが、資格喪失後の保険適用時期には注意が必要です。
退職後に資格を喪失する場合、まずは2つの選択肢があります。一つ目は、扶養家族から外れることにより、任意継続加入の対象になることです。これにより、退職前の組合に加入していた保険に継続して加入することができます。ただし、任意継続加入は、資格喪失日の翌日から20日以内に手続きを行わなければなりません。
二つ目の選択肢は、国民健康保険に転籍することです。国民健康保険に加入する際は、資格喪失後に居住地の市区町村役場へ申請することが求められます。ただし、国民健康保険への転籍も、資格喪失後の適用時期に注意が必要です。資格喪失から14日以内に居住地の市区町村役場へ申請しなければなりません。
いずれの選択肢も、手続き期間内に行わなければ保険の適用が受けられず、保険料の支払いが遅れる場合、違約金が発生することもありますので、注意が必要です。
健康保険への再加入の条件
健康保険は、前の健康保険の資格喪失から2ヵ月を経過しない場合は、再加入が可能です。この期間内に再就職し、新しい会社が健保組合に加入していれば、自動的に再加入されます。
ただし、期間を過ぎてしまった場合は、任意継続制度や国民健康保険に加入する必要があります。任意継続制度を利用する場合、前の健康保険の資格喪失後、2ヵ月以内に申請が必要で、組合によっては期間が短い場合もあります。
退職後の医療費の自己負担割合
退職後の医療費の自己負担割合は、その人がどのような保険制度に加入しているか、また年齢や所得によって異なります。健康保険の場合、退職後に任意継続制度を利用している場合や、再就職先が健康保険組合に加入している場合は、自己負担割合は変わらず継続されます。
国民健康保険の場合、一般的には退職後の医療費の自己負担割合が高くなることがあります。所得層によって自己負担割合が異なり、高齢者の場合は、一定の年齢に達すると自己負担割合が軽減される制度もあります。また、所得が低い場合、市区町村が支給する医療費の一部助成制度を利用できる場合があるが、利用条件は自治体によって異なります。
よくある質問
退職したら健康保険はどうなりますか?
基本的には、退職に伴って従来の健康保険から資格喪失になります。その後は、国民健康保険制度への加入が必要となります。
退職後 国民健康保険に入らないとどうなりますか?
健康保険に加入していない状態では、医療費の補助が受けられず、病気やけがの際に自己負担が増えることになります。
また、病気や怪我で休業したとしても傷病手当金が受け取れません。さらに、介護保険サービスや高齢者の医療費の支援も受けられなくなります。
健康保険の任意継続すると、保険給付はどうなりますか?
健康保険の任意継続を行うと、保険給付についても基本的には通常の健康保険と変わりません。具体的には、継続中に医療費が発生した場合や傷病手当金、出産手当金などの給付が受けられます。ただし、保険料の自己負担が異なる場合がありますので、注意が必要です。
国民健康保険の切り替え手続きに必要なものは?
国民健康保険への切り替え手続きに必要なものは以下の通りです。
- 住民票の写し
- 健康保険の資格喪失証明書
- 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
- 印鑑
15日付けで退職するとデメリットがあるってほんと?
15日付けで退職する場合にデメリットがあると言われる理由は、主に健康保険や年金制度などの手続きに関わる要素です。会社員の場合、厚生労働省が定める健康保険や年金の資格喪失日が15日となっているため、15日付けで退職すると、翌日から保険や年金の手続きが必要になります。
また、退職日が15日の場合、次の月になるまでの期間で、医療費や年金の手続きに時間がかかることがあります。これにより、その期間中に病気や怪我をした場合、医療費の負担が大きくなる恐れがあります。
まとめ
退職後の健康保険について解説してきました。健康保険に入っていることによって医療費等の負担を軽減することができるため、退職したら必ず国民健康保険の手続きを行うことをおすすめします。
また健康保険だけでは、万が一の保障を補うことは難しいため、ご自身のライフバランスや経済状況に合わせた保険の加入・見直しも退職を機に進めてみても良いかもしれません。
保険の加入や見直しに不安を感じたら、お気軽にご相談ください!
※本ページの記載内容は、2023年12月現在の社会保障制度、税制を元に記載しています。
詳細については、各制度の窓口や所轄の年金事務所、税務署等にお問い合わせください。
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